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かぐや姫の物語のtomひでのレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
4.0
劇場初公開時に観て以来2度目の鑑賞。月からやって来て月に帰るシンプルな話。前回鑑賞した時から好きな作品ではあったが、久しぶりの鑑賞でこんなに泣くとは思わんかった(笑)エンドロールでこの映画を創ってくれた全スタッフと高畑勲監督に感謝したい気持ちになった。

========以下ネタバレあり=========

映画後半、かぐやが幼少期に暮らしていた土地に戻り、捨丸と偶然再会するシーン、かぐやの「捨丸兄ちゃんとなら私、幸せになれたかもしれない」で号泣。それ以降、月に帰るまでほとんど泣きなから観てた(笑)理屈じゃない涙が溢れてきてヤバかった。映画って受け取る人間のあり方で本当に変化していくんだな…。

ジブリの画っぽくはない、水彩画、水墨画、線画のようなタッチで全編展開される。このジブリっぽくない画が本当に素晴らしくて、線画の柔らかさとその画で表現される動きの柔らかさが見事にリンクしていてめちゃくちゃ気持ちいい。背景や色がとてもシンプルになっている分、アニメーションとしての動き、柔らかさが観ているこちらにダイレクトに伝わってくる。

かぐやの怒りのシーンでは荒々しい線でその怒りが表現されるが、この荒れた線で表現される疾走感も本当に素晴らしい。一コマ一コマが独立したアート画のよう。何度も繰り返して見たくなる。疾走して疲れたかぐやが雪の上に倒れ、その背後に月が見えるアングルの美しさ…かぐやの立体感…。

あと全編シンプルな画ではあるが、かぐやの屋敷の板の間にキャラクターの反射とかをいちいち描いてるのもヤバい…。省略と描き込み、それぞれの押し引きがめちゃくちゃ気持ちがいい映画。まだまだアニメーションの色んな表現がつまっていて2度見たくらいでは消化できない。高畑勲作品で一番好きな映画。
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