死刑判決となったが冤罪として疑わしい名張毒ぶどう酒事件のドキュメンタリー作品。
つい先日、再審請求の却下について新聞記事で読んだことをキッカケに、録画していた本作品を鑑賞。
あくまでも弁護士側の主張を一方的に表現しているとは言え、裁判官のヒエラルキー構造や、再審請求を起こすための壁には驚いた。
誰が考えても100%判決を覆えすような証拠が無いと再審請求ができない仕組みが高いハードルとなっている。
それよりも腐り切った仕組みだと思うのは、再審請求を受け入れると人事に影響するところだ。出世に影響する判決などあってはならない。この作品を見ると司法を志しても、裁判官を志す人はいないだろう。
そもそも「疑わしきは罰せず」ではないのか。
作品の中では触れられていないが、無実を晴らすことなく89才で病死した。法務省が死刑執行の決断に至らなかったのは冤罪の可能性による躊躇いがあったのであろう。
では誰が真犯人なのか、
容疑者の供述で、証言が変わる不可解な事実。
過去の事件を蒸し返すことを避けたいだけとは思えない。間違って捕まった容疑者を犯人にするための証言の変更したように思える。
念入りに調べずに急いだ捜査の結果、悲しい出来事となった。自白を強要させた警察の罪も重い。
ご本人が亡くなったとしても、ご本人の正義のために続く再審請求。裁判官が現状の解釈を貫くか、弁護士の要望が届くのか今後の経過を見守りたいが、裁判官人事の構造を変えないと難しいのではないだろうか。