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二郎は鮨の夢を見るのTSのレビュー・感想・評価

二郎は鮨の夢を見る(2011年製作の映画)
3.3
【寿司に一生を捧げる男】73点
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監督:デヴィッド・ゲルブ
製作国:アメリカ
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:82分
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いや、こんなに顔どアップでこんなタイトルつけられてドキュメンタリーコーナーでクローズアップされてたら気にならないわけがないです(笑)
東京銀座の地下に構える寿司の名店「すきやばし次郎」。2007年にはかのミシュランから三ツ星を獲得している世界的にも著名な高級寿司店のようです。店長の小林二郎は齢91。現在、ミシュラン三ツ星の世界最高年齢だそうです。今作はこのすきやばし次郎と小林二郎、そして彼を追いかける息子たちを外国の立場から撮影したドキュメンタリー映画です。

まあまずお腹が空く。これを見て寿司を食べたくならないとかあり得ない(笑) 小林二郎の丁寧な調理により完成されていく寿司。それは最早芸術品とも言える代物であり、そして驚くほどにシンプル。鮪ならば鮪。何も変な事をしない。シンプルなままで客に味を届けるのが小林二郎のモットーだそうです。割と大きな黒皿に一貫しか置かないのも印象的でした。
席はたったの10席。予約は数年先まで満席。しかも一人3万円からだそうです。こんなのセレブしか食えねえじゃんか。と思ってしまいますが、生きてるうちに一度は行ってみたいなと思いました。もっとも、小林二郎直々の寿司を味わう事は年齢的に考えても不可能に近いと思われますが。。ミシュラン三ツ星で有名になったのもそうなのですが、何よりも2014年に安倍首相とオバマ首相が訪れたことが米日間で爆発的に有名になった事柄と言えそうです。

今作には小林二郎の弟子が数人登場します。その内二人は彼の息子たちです。どの道もそうですが、やはり寿司職人の道は相当厳しい。とある見習いは一年間皿洗いをしてからやっと卵焼きを焼かせてもらったそうな。優しそうに見えてかなり厳しい小林二郎。料理評論家である山本益博はプロの料理人には五つの要素が必要と述べ、小林二郎はその全てをクリアしているとのこと。これらを全てクリアしているからこのような寿司を生み出せるのでしょう。

ナレーターによる解説はなく、淡々とインタビュー形式がとられています。まるで情熱大陸のロング版を見ているようでして、納得させられることが多かったです。やはり、ある事に没頭する人間の生き様はこうも美しい。そして弟子に厳しくあたるのも、中途半端に道を歩んでほしくないという愛の表れでありましょう。そんなプロ中のプロが生み出す寿司。いつか食べてみたいものです。
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