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恐怖ノ黒電話のドントのレビュー・感想・評価

恐怖ノ黒電話(2011年製作の映画)
3.7
 2011年。おォーッやったァ~! クソ夫から逃げ出し、とりあえずの仮住まいとして古びたアパートを借りた女性。そこには固定電話として黒電話が。引っ越し初日にまるで知らない女から意味不明の電話がかかってくることからはじまる異次元恐怖サスペンス。
 こういうネタは映画でも創作でもまぁまぁ見られるけども、だいたいはこう、隔たりを超えてハートウォーミングな展開になりますよ。身の上が似ていて孤独な女性ふたりが電話で交流するとなればなおさらですね。ところがどっこいそうはならねぇんだなぁ~。内容をまるで知らないで観たのでこのヒネりに「なにっ」「なんだぁっ」と驚くこと数回。意地の悪さにニコニコしつつヒヤヒヤして見続けた。なにげに何度も何度も背後にボンヤリといらっしゃるあたりもまたホラーめいて◎。
 このようにお話は大変にナイスで、ある程度は読めるものの規定路線をはみ出す悪質さも挟んでくるのでかなりスリリング。こっちとしては基本打つ手がない状態で進むため「こっ、ここからどうするんじゃ……!」とかなり旨味のあるサスペンスが味わえた。よくできていて、綺麗にまとまっている。
 ただしさすがに暗すぎるのとか、ラブシーンでテロテロに甘い音楽がかかるカッコ悪さとか、もうちょい照明とか撮影に磨きがかかっていたら1.5倍くらいよくなっていた気がする。登場人物は多くないものの、みんな実にこう存在感があってよかった。太ったヒゲのオッチャンはシュワちゃんの『ラストスタンド』に出たり、最近ではドラマ『ウェンズデー』でお父さんことゴメス役をしている。本作の悪役は2023年ベスト・ヴィランに選びたい。
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