僕には語彙が足りません。
この映画の良さを上手く伝えたいのですが、"素晴らしい"という言葉しか思い浮かびません。
世の中にはこんなにも言葉が溢れているのに、僕は大好きな映画を、毎回同じフレーズでしか褒めることしかできないのです。
"言葉は海"だとこの作品は言っています。自分の気持ちを相手に伝えるには、その海を渡らせて届けなければなりません。
辞書はその言葉の海を正確に渡らせる為の舟。気持ちを正確に伝えるには、言葉の意味を知り、伝えたい言葉を明確する必要があります。
言葉を知るということ
言葉を選ぶということ
言葉を大切にするということ
それは相手のことを思うこと…
そういった、"言葉"の正しいあり方を丁寧に描いた作品です。きっと言葉を大切にする人は、人の心も大切にし、人の言葉も大切にする人なんだと気付かされました。
15年の歳月をかけて辞書を作る作業。15年間言葉と向き合い、言葉と言葉を編みながら言葉の舟を造っていく…
想像もつかない途方のない作業。何度も推敲を重ね、文字を加えては削り、加えては削りを繰り返し、一つの穴も許さない舟として、完璧な作品へと仕上げていくのです。
そこにあるのは確かな情熱。それを支えるのは確かな愛でした。
人と人が繋がるということ、人に伝えること、そして仕事の考え方など、色々と前向きな気持ちになれる作品です。
松田龍平さん、宮崎あおいさんの距離感がとても良かった。オダギリジョーさんの西部も本当に良かったし、黒木華さんのミドリ役は珍しくケバかったけど、やっぱり可愛かった。
小林薫さんや加藤剛さんなど他の俳優さんも皆さん良かったです。
15年という歳月を優しく丁寧に描いた作品。
月並みな言葉ですが、本当に素晴らしい映画でした。