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雨にぬれた舗道のodyssのレビュー・感想・評価

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)
3.8
【階級の差と男女の差】

ロバート・アルトマンの特集が最近リバイバルで組まれ、それで初めて鑑賞した作品。

若くはないが女としての魅力を失ってしまったというほどでもない、微妙な年齢の独身女性。
親から相続した高級マンションに住んでいる。
或る日、近くの街路のベンチに雨に濡れながら坐っている若者を見て、自宅に招じ入れる。
彼は何もしゃべらない。
そして・・・と話が続く。

先が読めない展開で、最初は若い男に未婚の微妙な年齢の女性がたぶらかされる話なのかと思っていたが、しかし・・・

総じて、この映画では女の「生きる力の強さ」が目立つ。
一見、頼りなさそうに見えるヒロインにしても、初老の医師から言い寄られているが、しっかり拒んでいるし、若者(なかなか美形である)の姉の図々しさは、弟の、或る意味純真さと比べると、いかにも下層階級的。

そう、この映画はある意味では階級の差を描いているのではあるが、それ以上に男女の(世間的な見方とは逆の)強弱を描いているのである。
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