ドント

待ちきれなくて…のドントのレビュー・感想・評価

待ちきれなくて…(1998年製作の映画)
4.1
 1998年。い、イイ映画ダナーッ! 高校の卒業式の夜に生徒たちがハメを外しまくる卒業パーティー、それぞれいろんな思いや思惑や煩悩や野望や希望を持ったティーンどもがドンチャカワイワイする明るくて軽くてナイスなthis is 90年代的群像劇。
 当時キラキラしていた若手俳優たちの見本市でありつつ超おもしろいというなかなか稀有な作だった。3年の片思いの末告白しようとするブレストン、ブレストンの友達で気乗りはしないが付き添いで来たデニーズ、いじめの復讐に燃えるウィリアム、そのいじめの首謀者で「大学に行けばコドモじゃなく大人の女とヤり放題だぜ」とか言うあほのマイク、そのマイクと別れたてでブレストンの片思いの相手アマンダ、ラッパー気取りであほのケニー……などなどが行き来し交わりすれ違う。
 100分のうち75分くらいはパーティー会場のおうち内外でのドタバタに終始しており、「狭い場所で人がワタワタして大変ですわ!」な映画が好きな俺にはたまらない舞台設定となっている。舞台設定に負けじと彼ら彼女らのドラマがピシパシと転がっていくのが小気味良くスイッチされ、とにかくテンポがよい。終わってから振り返れば落ち着くところに落ち着いているのだけれどドンチャカドタバタ&ウェットの押し引きが抜群に上手いので見せる見せる。
 メインだけでなくサブキャラたちにもそれなりに味のあるシーンが用意してあり、パーティーにいるひとりひとりがこの夜を楽しんだり苦しんだり揉めたりしているのがわかる。「これ要らなくね?」もあるっちゃあるけど(すごい勢いで色々盗むアイツは何なんだ)、そういう余分があるからこそ、生き生きと自由奔放な空気が画面から伝わってきて、孤独な人生を送ってきた自分も何だか楽しくなってく……クッ……ウッウッ……(自分が孤独なことを思い出した)
 おれのような孤独な立場の人間に寄り添うオトナな人物もふたり登場して、素晴らしく印象的なシークエンスを残してスッと去る。この夜は奴らガキどもの夜だから、長居はせずに綺麗に去るわけだ。粋ですね、こういうのを差し挟むのは。バカな高校生の一夜の大騒ぎでありつつ、人生の一頁に残る晩を見届けた、といった温かな気持ちになったのであった。パーティー会場の家の娘さんのことはまぁ、おいといて……
 なんか小難しいトラブルとか問題意識とかそういうのがない、よい意味で軽薄なイイ映画でありました。『アメリカン・グラフィティ』のパロディ的幕引きも好ましい。90年代の音楽(+文化)が多く突っ込まれていて懐かしいことこの上ない。先日ボーカルが亡くなったスマッシュ・マウスが数曲使われていてフッと寂しくなったけどね……時は流れますよ……。とまれ、心が洗われるようなライトさであります。金ローとかでもやりましょう。
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