まるで荒野を何周も走っているような、虚しさと満たされない孤独感
自分そのものではない何かを見ている人たちからの好奇の目線や、安い好意を貪ることで彼はそのどうしようもない"満たされなさ"を埋めようとする。
度々送られてくるメッセージには彼を詰るような言葉が並べられている。きっと多くの人を傷つけてきたのだろう。そうやって、好意を貪ることで。その罪悪感も感じながら、でもどうしょうもないと感じている。
「俺は空っぽだ」という涙ながら口にする彼は、ただのひとりの人間であった。
それでもひとり娘は父親に寄り添うように、ただそのなんでもない時間を楽しんでいるように見えた。
フランシス・フォード・コッポラという大監督を父に持つソフィア・コッポラがこれを作った意図について、想像せずにはいられない。