theocats

テリトリー・オブ・ゴッドのtheocatsのレビュー・感想・評価

テリトリー・オブ・ゴッド(2010年製作の映画)
3.0
ネタバレ
あるブラジルギャングの哀れな栄枯盛衰記

「奢れる者は久しからず」の格言を過剰なバイオレンスやいやらしい演出なく質朴に描いた物語。

エルビス・コステロのような風貌の主役。本物の度入りメガネをかけているという点でギャングとしては異色。
育ちはそれほど悪くないようだが激昂し易くすぐ暴力に走る性質。
一介のチンピラから過激な暴力性で瞬く間にエリアを牛耳る存在になったようだが、なした極悪犯罪ゆえに度々逮捕される。
仲間にも何度か裏切られ、バックについていた刑事にまで見放され、ドラッグ中毒者に落ちぶれ過剰投与で心臓発作。
一命はとりとめたが刑務所収監。収監中に執筆した書籍が本作の原作とのこと。


見終えての感想はまずまず。
2010年と比較的近年の映画ながら演出が素朴で、ストレートに彼の人生を追跡描写していたのが好印象。
1960年代前後を模したロケ地の石造り家屋やクラシックカーなど欧米とは一味違う雰囲気もかなり良し。
ちょっとしたことですぐカッとなり凶行に走る際に憎悪の表情となるが、度つきレンズの為目の辺りが屈折して複雑な歪み顔になるのが効果アップ。

注射を使うということはヘロインかシャブということになるだろうが、ああなってしまってはいかにギャングのボスとはいえおしまいということ。「シャブは打つ物じゃない売る物だ」というのは竜二という映画で成り上がりヤクザがうそぶいていたセリフ。

ラストは銃撃でハチの巣にされるのかと思いきやさにあらず。静かにテロップで幕引き。
何れにしろ〝パッと咲いたあだ花”的刹那感が、こちらにもそうあってしかるべきだよなぁという納得の余韻として残る。
間違っても凶悪犯罪者が繁栄し安寧的死を迎えるようではいけないだろうから。

三ツ星


風貌的にそう見えるのか腑には落ちなかったが、主人公がジャップと言われ怒りの炎をたぎらせる場面は興味深いと感ず。今でもそうか分からないが日本人は蔑みの対象というわけだ。

002010
theocats

theocats