1976年に日本公開された『さらば愛しき女よ』に続いてロバート・ミッチャムがフィリップ・マーロウを演じた作品ですが、撮影都合なのか、なぜか公開当時のイギリスが舞台に変更されています。
監督は『メカニック』や『狼よさらば』をはじめとするデス・ウイッシュシリーズの英国人マイケル・ウイナーです。
出演者は今見ると豪華で、依頼者の米国人スターンウッド将軍に往年の名俳優ジェームズ・スチュアート、その二人の娘シャーロットとカミーラにサラ・マイルズとキャンディ・クラーク、暗黒街のボスのエディ・マーズにオリバー・リード、小悪党のジョー・ブロディにエドワード・フォックス、殺し屋カニーノにリチャード・ブーン、など英米の俳優が競演しています。
豪華な配役は認めても、ではそのキャスティングを活かした素晴らしい展開かと言えばどうでしょうか。ちょっと残念と言わざるを得ません。将軍の二人の娘はかなり複雑な存在ですが、この映画では二人とも単なるバカ娘の扱いで、せっかくの好演を活かしきれていません。エドワード・フォックスももったいない使い方です。
ストーリー的にはほぼ原作に沿っています。ハワード・ホークスとボギーの『三つ数えろ』のようにあまりにもハードボイルドでよく理解できない展開になっているということはなく、説明台詞にはわかりやすく映像を付けてあります。逆にわかるので『三つ数えろ』より安っぽく見えるとも言えます。