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罪深き尼僧の悶えのhorahukiのレビュー・感想・評価

罪深き尼僧の悶え(1974年製作の映画)
3.4
バレンタインホラーかと思ったら違うやん!

去年は怖いお船さん映画祭をひとりでやるというとち狂ったことしてたので、今年はバレンタインに合わせようと選んだのがコレ。原題にSAINT VALENTINEって書いてたからバレンタインデーもしくは、バレンティヌスに何か関係あるんやろ!と思って見始めたら、聖バレンティン修道院が舞台ってだけの、ありがちナンスプロイテーションでした…😱

男とヤッて飽きたら処刑して証拠隠滅、また次の男へ…って感じのヤリ捨て名人なシスターが、冤罪で追われる身の男に手を出したら自分の悪行がバレそうになっちゃった…ってお話。でも実際そのお話ほサブで、その追われる男エステバンと婚約者の彼女ルシータが両親の家柄の問題で結婚を許して貰えないロミジュリ系ストーリーがメイン。

しかも修道院内でシスターがひとり殺される事件が起こったもんだから、司教殺しの容疑者を彼氏に持つルシータが怪しいってことで処刑が決定しちゃってさあ大変って感じの内容。

本編が始まる前に『コフィンジョー』みたいに、「今からエロくてヤベェ映画始まるよ!」ってサキュバスコスしたおばさんがエロいことしながら紹介してくれるんだけど、「他にもこんなエロい映画もオススメ!」みたいないらん宣伝までしてくるから最初8分くらいは完全に飛ばしてOK。しかも本作のことを「低俗なる大作」っていう褒めてるのか貶してるのかサッパリわかんない紹介するもんだから笑った🤣

キャラクターの空間を隔てた移動に空気感を引き継がせたり断絶させたりで緩急つけつつ、足元の少しの動きから顔を見せずに突き立てるナイフがジャーロみを感じさせて良い感じ。修道院だから登場人物はシスターだらけなんだけど、後半になるとみんな基本的に上半身はだけてるし、シスターが悪魔の絵にサタン様…って縋り付いてるし、修道院ってなんなんやろな…ってなった。

そんな感じのキリスト教の名の下に抑え込んでた情欲が溢れ出てくるというナンスプロイテーションの見どころはしっかりと押さえ、神を恣意的に利用する宗教者と地位によってそれが正当化されてしまうことによる胸糞感、今まで長年拠り所にしてきたキリスト教という目的を失った後のニヒリズムを受け入れられずに崩壊し始めるシスターたちの地獄絵図(とまでは行かないけど…)を見せつけてくるし、メインのお話もしっかりと収まるべきところに収まるし、割とちゃんとしてる印象。確かにこれは低俗なる大作ですわ。
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