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Shopgirl/恋の商品価値のGreenTのレビュー・感想・評価

Shopgirl/恋の商品価値(2005年製作の映画)
3.0
映画として良く出来ていると思うかと訊かれたらわかんないですが、この気持は分かる!って感じの映画でした。

ミラベルという女の子は田舎からLAに出てきて、本当は写真や絵などのアートをやりたいんだけど、生活のためにSaks 5th Avenue というデパートの手袋売り場で働いている。Saks は比較的高級なデパートなので客が少なく、しかも商品が手袋なのでほとんど客は来ない。

毎日仕事と家の往復で、しかも他人との接点もなにもない。モノトーンな毎日。

だからコインランドリーで声をかけてきた、いかにも金なさそうな小汚い男の子でもデートしてしまう。

私も不毛の時代にダメンズに引っかかった経験があるので「わかる!」って思いました!どー考えても好みじゃないし、好きでもないんだけど「セックスしてえ〜」みたいな(笑)。

ちなみにこの小汚い男の子、ジェレミーを演じるのは、ジェイソン・シュワルツマンで、とにかくめちゃくちゃ毛深い!で、役柄がギター・アンプを作っているお金もないアーティストなので、故意に汚く描かれている。

これに対抗するような、いかにもSaks の上客って感じのロマンスグレーの紳士、ロイが、ミラベルとデートしたいと言ってくる。

で、ミラベルはどっちを選ぶの?って話なんですけど、ジェレミーはとあるバンドにくっついて何ヶ月もツアーに行ってしまうので、ミラベルはどんどんロイと親しくなる。

ちなみにジェレミーがくっついていくバンドのボーカル件ギターを演じるのが、「どっかで見たことあるなあ〜」と思いながら誰だかわかんなかったんだけど、『あの頃ペニー・レインと』でStillwater のベーシストを演じている人だった!この人本業はミュージシャンらしくて、劇中で演奏されるのはこの人のバンドの曲らしいです。

ロイはミラベルの大学ローン、400万円近くも返済してあげたり、高価なプレゼントもくれるし、病気のときは病院に連れてってくれて、看病もしてくれる。だけど、「現在のところはシリアスな関係になる気はない」とミラベルに言う。

ミラベルは、もちろんハッキリ言われているんだけど、今はそうでも、付き合って行く内に心が触れあえば、シリアスになるだろう、初めからシリアスな関係なんてないよね、って思う。

だから数ヶ月付き合っても、ロイは一線を引いているってことにひどく傷付く。

コレがね〜!!私もやられたことあるので分かるんですよ〜。すごい悲しいです、こういう付き合い。人間って、親密に付き合っていたら関係性がどんどん変化していくものなんですよね。セックスしてデートしてプレゼントしあって、ってやっているのに「割り切った関係」を維持するってのは難しいし、疲れるし、だんだん空虚になってくる。おあずけ食らったままみたいな。

でも、ロイの気持ちも分かるんだよな〜。いいかげんいいトシになってくると、過去の恋愛がいかに面倒くさかったか、どーせ別れるのに、って思っちゃうんだよね。でも、もちろん、自分が相手を受け入れなかったら、相手は去っていくってことも分かっている。結構本気で好きなので手放したくはないけど、でも今受け入れたところで、何年付き合うだろう?って先が見えちゃうので、変わることも出来ない。ミラベルのことが好きで、一緒に過ごすのも楽しいけど、1人住まいの気楽さを捨てる気はないし、みたいな。

で、ジェレミーはと言えば、バンドとのツアー先からミラベルに「元気〜」とか電話してきたり、ノーテンキなままなのだが、バンドのボーカルに「お前は人を愛することを知らない」と、自己啓発CDをいっぱい聞かされて成長するという、この人のキャラクター設定が一番弱い。

この映画は、ロイを演じるスティーヴ・マーティンが書いた小説を自分で脚本化した映画で、DVDのインタビューでは、「友達や知り合いから聞いた恋愛話を参考に書いた」小説だったんだそうなのだが、ウィキではハッキリと「スティーヴ・マーティンは、若いとき、ロマンスグレーの年上の男性にガールフレンドを盗られたことがある」って書いてあって、だとするとジェレミーのキャラは自分がモデルなはずなんだけど?スティーヴ・マーティンも自己啓発CDを聞いて成長したのかな?

ネタバレはコメント欄で!
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