地底獣国

悪い子バビー/アブノーマルの地底獣国のレビュー・感想・評価

3.9
生まれてから35年間、母親に「外に出ると有毒ガスにやられて死ぬ」と教え込まれ、閉じ込められていた男バビーの物語。などと書くと「ブリグズビー・ベア」を思い出したりもするけど、本作の母親はあれより遥かに狂ってて夜な夜な我が子とセックスしてたりする、毒親などという呼び方では生易しいヤバさ。

そこへバビーが生まれる前に失踪していた父親がやってきて話が転がり出すんだが、母親ほどじゃないけど親父も大概変人で、バビーが外の世界に出るまでに十分異様な話が展開されて目眩がしてくる。

そこから「体は大人心は子供」のバビーが彼に興味を抱いた様々な人と交流したり、全く悪気無く犯罪をおかして勾留されてエライ目に遭ったりするわけだが、とにかく近年これほど着地点は勿論、5分先も読めないような映画は殆ど観なかった気がする。

そんなストーリーではあるが(性欲は別として)子供のようだったバビーが次第に語彙が増え精神的にも成長し、遂には愛のために手を汚すあたりには胸が締め付けられるし、この曲がりくねった道行きの最後には「ええ話やなぁ」と感慨に耽ってしまう(個人の意見)奇妙な味わいの一本。

「神よ!僕に罰を下してみろよ!」

おまけその1:バビーの父親役はかつて「ウルトラマンG」でアーサー・グラント隊長を演じていたラルフ・コッテリル。あの隊長もかなりの曲者だったけど本作はそれに2つ3つ輪をかけた怪人物。

その2:映画が終わって最後に出る日本語テロップ、正直信用ならん。
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