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4月の涙のvilljobbaのレビュー・感想・評価

4月の涙(2009年製作の映画)
3.0
1917年、長年ロシアに支配されていたフィンランドは独立を宣言。
しかし、国が独立すると前体制派と新体制派で争いが発生するもの。ロシア派の赤軍と独立派の白軍で戦争が始まる。これがフィンランド内戦であり、思想の対立する同国民同士が戦った。だが本作で描かれる通り単に戦うだけでなく、同じ国の国民に非常な扱いをする悲惨な内戦となった。
北欧諸国は二度の世界大戦で大ダメージを受けていないこともあって、この内戦での死傷者の規模は北欧の歴史上最大とも言われている。

性の平等に対する意識が高く、現代で女性労働者が多いのはもちろん、当時すでに女性参政権が認められていた(世界でほぼ最速)国・フィンランドでは、女性兵士がたくさん戦っていた。
経済的に優位に立っていた白軍はドイツ軍やスウェーデン軍に協力を要請しており、舞台となる1918年中期には白軍圧倒的有利な戦況となっていた。
白軍は捕まえた赤軍兵士たちを捕虜にし、適当に裁判して殺しまくるのだが、先述の通りフィンランドには女性兵士が多い。女性捕虜たちは次から次へとたくさんの白軍男からレイプされた挙句、それが明るみに出ないように全員殺害される恐ろしい状況になっていた。繰り返すけど両軍ともフィンランド人である。

この映画では、赤軍の女性銃撃部隊に属する兵士ミーナが運よく射殺から逃れ、優しい白軍青年に会ったことで起こる出来事を描いている。
愛を前面に押し出すわけでも、裁判での駆け引きを押し出すわけでもなく、色んなバリエーションのドロドロ愛を見せてきたりするので予想と全然違う展開だった。

テーマがエグいのに、金髪美女が死ぬと怒り狂う私でも見れるくらい、ヤバいシーンを直接見せたりはしないのが良い。
主人公の青年も優しさが滲み出ている。ミーナの生脚を見てオ○ニーするシーン、地味に彼の性格をしっかりと分からせてくれる大事なシーンだと思う。
この監督の映画はあまり好きじゃなくて、感性があまり理解できないけど、同じ役名で別の映画に出演していたピヒラヴィータラが美しすぎたので良し。
セリフほとんどなくても強い女性をしっかり演じていたと思う。この映画でもヌードを披露しているけど、肉のつき具合がちょうどいいです。
子供役の人がデジャヴだったけど、同監督の別映画で出演してたらしく、納得。ところが監督と苗字が同じなんだよな。まさか息子か。
あとエーロ・アホという名前の俳優も出てる。フィンランドの苗字はおもしろい。

これはフィンランド映画なので、現代のフィンランド人から見ると大低は感情移入して応援するのは白軍たちの方であり、ロシア派・赤軍であるミーナは本来は敵として描かれる存在というのが大事。

北欧の歴史は日本で学ぶ世界史ではあまり出てこないので、そこらへんを宣伝したいと気持ちもあってオススメ。
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