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ソウ2のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ソウ2(2005年製作の映画)
3.7
 左右に揺れる裸電球、椅子にくくりつけられたタレこみ屋のマイケル・マークス(ノーム・ジェンキンス)は、TVモニターから流れる「ジグソウ・キラー」の声に震え上がる。前作でアマンダが押さえ付けられた逆トラバサミヘッドギアとよく似たデス・マスク(死の仮面)、寝ている最中に麻酔注射をされ、右目を損傷した男は恐怖のミッションに挑む。ハエ取り紙の要領で首に固定されたデス・マスク、全身ミラーの前に立った男はやおら右目にメスを向けるが、仕掛けで無残にも殺されてしまう。一方その頃、悪徳刑事のエリック・マシューズ(ドニー・ウォルバーグ)は、窃盗により逮捕された息子ダニエル(エリック・ナドセン)を迎えに行く。過去にありもしない証拠をでっち上げて容疑者を逮捕したり、丸腰の犯人を射殺するなどの悪徳警官ぶりを見せつけて来たエリックは愛する妻と離婚し、寂しさのあまり息子ダニエルは皮肉にも非行に走る。「母親の元へ行きたい」と呟く息子の姿に激昂し、親子の距離は開いてしまう。猟奇的連続殺人犯ジグソウを執拗に追う女刑事アリソン・ケリー(ディナ・メイヤー)に呼び出され、マイケルの陰惨な殺害現場に足を踏み入れたエリックは、天井に書かれた「近くで見ろ、マシューズ刑事」という文字列を目撃する。癒着していたタレこみ屋のマイケルの死に恐怖を感じたエリックは、SWAT出身の同僚ダニエル・リッグ(リリク・ベント)と共にジグソウのアジトに乗り込む。

 低予算ながら世界的に大ヒットを記録した『SAW』シリーズ第二弾。前作で監督・脚本を担当したジェームズ・ワンとリー・ワネルのコンビは製作総指揮に回り、新たに新鋭ダーレン・リン・バウズマンが今作から3作連続でメガホンを取った。前作のクライマックスで明かされたジグソウの恐るべき正体だったが、今作では警察組織に呆気なく絡め取られるものの、それ自体はエリック・マシューズの悪を暴く恐るべき撒き餌でしかない。1に登場したローレンス・ゴードン(ケイリー・エルウィス)同様に家族の不和を抱える父親の思いにジグソウは気付き、巧妙な罠を仕掛ける。密室に閉じ込められたパーティは2人から8人に変わりシンプルさが失われたが、パーティ・メンバー1人1人の殺し方の残虐さは前作を凌ぐ。業火に焼かれる男や、注射器の中に落とされたアマンダ・ヤング(ショウニー・スミス)の絶叫も怖いが、何よりショッキングなのはザビエル・チャベス(フランキー・G)のクライマックスの奇行に他ならない。他人の不幸を一切気にも留めない鬼畜の所業は、それゆえに実の息子との関係性に思い悩む。それと共に今作ではジグソウの恐るべき秘密が明示され、後継者さえ浮かび上がる。ラスト・ミニッツ・レスキューを果たすはずの父子の描写はシンプルなトリックで分断され、やがてミイラ化した死体と対面する。確かに今作には前作ほどの二転三転する脚本のインパクトはないが、ジグソウが決死のゲームをするようになった理由は開示され、何とも言えない悲哀を醸し出す。
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