南仏マルセイユの北西にある小さな町、マルティーグの駅。
ギターを奏で歌う男たちなど希望に溢れる人々が降り立つ。彼らはイタリアから出稼ぎに来たのだ。
その一人、トニは、マリーが経営するゲストハウスに入り採石場で働く。
その後、トニはマリーと同棲状態だが、叔父セバスチャン、従兄弟ガビと共に農場で暮らすスペイン人女性ホセファに惹かれ、アプローチする。
ホセファもトニに好意を持つが、採石場の現場監督アルバートという嫌な感じの男に手篭めにされてしまう。
トニはマリーと、ホセファはアルバートとそれぞれ乗り気でない状況のまま、合同結婚式を行う。
その後ホセファには子供も出来たが、トニの友人フェルナンドから、アルバートの極悪ぶりを聞き、ホセファを心配するトニ。
トニを信頼していたホセファの叔父セバスチャンが亡くなり、ホセファを慰めるべく葬儀に行こうとするトニを引き止めるマリー。
揉めて出て行ったマリーは海にボートを漕ぎ出し自殺を図るが一命は取り留める。
マリーから二度と会いたくないと言われたトニは、森の中で過ごし、ホセファの住む家を遠くからウォッチしている。
一方、アルバートに我慢の限界のガビは、ホセファにアルバートの金を奪わせ一緒に逃げようと促す。
その話を聞いたトニは、ホセファを救うのは俺だと主張する。トニもガビもホセファを愛しているのだ。
そして、事件は起こる。銃声を聞き、ホセファの家に駆けつけたガビとトニは、銃を手にしたホセファと息絶えたアルバートの姿を見る。
アルバートの死体を森へ移動し、自殺に見せかけようとするトニだが・・・
小道で荷車を動かせなくなっていたホセファを助けるトニが、畑のぶどうをもいでホセファに食べさせる際、ハチが出てきてホセファの背中に入り込むのを取り出し、刺されたところをトニが吸い出す幸福なシーンが印象的。
実話が元というストーリーを、素人に演じさせたジャン・ルノワールならではの人間描写。
トニがこの地に来て3年、再びマルティーグの駅には希望を持った人々が降り立つ。哀愁のラストが沁みます。