女ぐせは悪いが、義には熱い所もある盗賊・弁天小僧。
扮するのは市川雷蔵。
捕物方との格闘、屋根伝いに逃げる際の身のこなし、水も滴るような江戸言葉の台詞回し…すべてが颯爽としたかっこ良さ。同性から観ても惚れ惚れとする。
ニ本立てが当たり前の時代の作品であり、90分弱の尺の中にスター雷蔵の魅力をギュッと凝縮。
腹黒い武家に嫁にとられる町娘を奪還する作戦を立てる場面など、そこだけ歌舞伎の舞台調になり、コンパクトな空想シーンながらも歌舞伎役者としての雷蔵の女形の魅力も見せてくれるサービスぶり。
共演の勝新太郎が遠山の金さんに扮しているのも楽しい。決して出番は多くないけど、くさらずにニコニコと雷蔵氏に華を持たせている感じがほほえましい。