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悲恋のBONのレビュー・感想・評価

悲恋(1943年製作の映画)
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ワーグナーのオペラでも知られるトリスタンとイゾルデ伝説をもとに、コクトーがストーリーと台詞を書き直して蘇らせた悲しい恋物語。

渋谷フィルムコレクションにてVHSをレンタル。コクトー『美女と野獣』公開年の約3年前のレアな初期作。主演は勿論コクトーの恋人でもあったフランスの美の象徴ジャン・マレー。

叔父に面倒を見てもらっている青年のパトリスが、叔父の花嫁探しに港町に出かけ、ナタリーという美しい娘を城に連れてくる。叔父の甥で城に同居している小人アシルの悪行で、やがてパトリスとナタリーは愛し合うようになる…という話。

ありふれたメロドラマのようで、パトリス役の荒々しく鋭い眼光を持つジャン・マレーと、ナタリー役のジョゼット・デイはモノクロの中眩しくて特別に感じた映画になった。

2人とも海に家族を奪われた孤児という共通点もあり、小人アシルが悪さをしなくても恋に落ちないはずはない…。コクトーの書いた台詞が詩的。
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