takanoひねもすのたり

ザ・クロス エクソシストの闇のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

2.8
原題、paslm21(旧約聖書の詩篇21の意)

ストックホルムの若い神父ヘンリック(ジョナス・マルムスホ)は教区で尊敬される存在だが、妻子とは破綻一歩一歩手前。
そんなある日、彼の元に実父が亡くなったと連絡が来る。死の状況に納得出来なかった彼は故郷のスウェーデンへ戻り、父親の教区の村へと赴く。生前父と親しくしていたという一家に迎えられるが。

彼の前に生前の母の幽霊や亡くなったご近所の人でオカルト現象に怯えるわ、異形化した父親に襲われる悪夢を見るわで、心身共にぐったりしてくるヘンリック。

邦題が『エクソシストの闇』とありますが、悪魔祓いはなく。
ペドフィリアだった父親の歪んだ聖書の解釈→詩篇21vsヘンリックが父親の罪と向き合うための勇気や心棒となりうるのか聖書と信仰という話。

邦題が詐欺なので、エクソシスト物を期待していると、肩透かしを喰らうかもしれません。
個人的にはわりと好きです。

ヘンリック最後の説教が、安定した生活にあぐらかいて、足元の地獄を知らずしててめぇら脳天気に神頼みすんじゃねぇ、世の中には地獄の中で生きてる人間もいるんだぞ、的な啖呵にも思えて、ヘンリック、やるじゃんと思ったり。

小粒ながらストーリーの破綻がなく、またキャラ配置も必要な所に、父親の犯罪は仄めかしよりややはっきりと描写しており、最後まで筋が通った構成だったなと思います。

オカルト現象がCGなのは、ご愛嬌ということで。