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僕の彼女はどこ?のSEULLECINEMAのレビュー・感想・評価

僕の彼女はどこ?(1952年製作の映画)
4.5
テンポに無駄がなくておもしろい。気難しいケチな老人だったチャールズ・コバーンが次第に軽快さと柔和さを取り戻してゆく過程が、テクニカラーの素晴らしい色彩で描写されている。
喜劇的な要素もふんだんに盛り込まれつつ、それでも大金が人を変えてしまうという哀愁や、思い通りにいかないながらもあくまで"ジョン・スミス”に徹するチャールズ・コバーンの温かい献身性がメロドラマとしての強度を支えている。
あえて言うならば、ダンとスミスが真の友人となっているという細部にこそ、このフィルムの本質が宿っているように感じる。資産家であることを隠した仮初の身であるがゆえに、共にカウンターで働くことで150ドルもの"大金”を払ってくれる友人を獲得できた"ジョン・スミス”こそ、このメロドラマの真の勝者なのではないだろうか。
そして、踊るということの雄弁さを繊細に描いているのも素晴らしい。何より、ラスト・ショットの雪の美しさに勝るものは何もないでしょう。
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