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ミリオンダラー・ホテルのtheocatsのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・ホテル(2000年製作の映画)
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U2ボノの断片的イメージを拡幅したMTV

米国都会のとあるおんぼろホテル。というより冴えない人種が集う吹き溜まり的アパートみたいな様相。
その屋上からある住人が飛び降り自殺をしたが、その自殺者の父親が社会的大立者で死因に納得できず、ホテル住人の誰かが息子を殺したと決め込みFBIに捜査を強要。
FBI捜査官メル・ギブソンもその線で調べを進め、強引にあるインディアンを逮捕。
しかし、そのインディアンは芸術家であり、その作品が自殺者の物と誤認されることで価値が高騰する可能性を秘めていた為、そのおこぼれにあずかろうとするぐうたら住人達が真犯人を捏造。ホテル住人の中から知的障害を持つ青年を言いくるめ偽の自白ビデオを撮影し報道機関に提供してしまう。
その青年には恋する女子がいたが、徐々に仲良くなりかけたその時に偽の自白ビデオがテレビで中継されてしまう。
警察もその青年を追跡するが、メル・ギブソンは盗聴で全ての過程を知っているので彼を逃がそうとする。しかし、知的障害青年は捏造ストーリーが真実と夢想・誤認するに至り、自ら・・・・・




ヴェンダース流味付けがなされているとはいえ本作の雰囲気を決定づけているのはU2ボノの原案と音楽ということなのだろう。
それが大きな手かせ足かせとなってヴェンダースも手の施しようがなく、横のワイド感と縦のダイナミック感が封じ込められてしまい、ほぼホテル内だけというごく狭い舞台での矮小劇とならざるを得なくなったような印象。

率直に言えば極めて詰まらなく、決して嫌いではないが本作に限ってはボノ他の音楽も凡庸。
映像美はもしかしたらあるのかもしれないが、個人的には「醜」しか感じ取れず。
魅力あるキャストも見いだせないとあっては万事休す。
主演男女もそうだが、ギブソンの場違い感は私は致命的と感じた。

第一金に汲々しているはずのあんな吹き溜まり人種がおんぼろとはいえホテル住まいを続けられるわけがない。
FBI一人の捜査官による一つのホテル一極集中捜査というのも現実解離が甚だしい。


総評はプラスマイナスゼロ

002009
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