Foufou

カンウォンドの恋のFoufouのレビュー・感想・評価

カンウォンドの恋(1998年製作の映画)
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ホン・サンスの劇場公開2作目にあたるとのこと。38歳の作品です。現在の彼の作品からすると、思わず吹き出しかねない演出は鳴りをひそめ、同じ恋愛劇、不倫劇でも、シリアスで基調は誠に暗い。

酔い過ぎて、管を巻きながら泣く、はこの監督の作品にはよくありますけど、慚愧の念とか後悔とか、そういうのがあって泣く、ですから、見ていていたたまれない場面も少なからずある。

同じ場面を二つの別の恋愛劇が交錯する、あるいは微妙な関係性の二人が別の物語の中心にいて、彼らの物語があわやニアミスする、なんてことを、もうこの頃からやってらっしゃる。

ある意味、ずーっとおんなじことやってる。それでも新作が見たくなる。なんなんでしょう。

本作は色彩からもうロメール(ロメールグリーンが溢れている)。ロメールを韓国人でやりたいというのが、手に取るようにわかる。で、今泉力哉を感じる。だから、ロメールを知らなかった今泉力哉は、ホン・サンスを通じて(ご自身、本作の自作への影響を語っておられる)、いつのまにかロメリアンとなっていたという読みは、あながち間違っていないと確信される作品でもある。

カンウォンドとは、江原道、半島北東部にある海沿いの観光地とのこと。この頃からロケーションは観光地と決めているよう。初期ではわりと風景をしっかり撮ってましたし、観光観光してます。

バカズームが、ない。
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