【第23回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『国境は燃えている』ヴァレリオ・ズルリーニ監督がバスコ・プラトリーニの自伝的小説を映画化した作品。ヴェネツィア映画祭ではタルコフスキー『僕の村は戦場だった』と金獅子賞を分け合った。
想像より重く、そこまで優れているとは思わなかったがよかったと思う。戦争を挟んだ兄弟の半生を描いた大河ドラマと言えるだろうか。
後半はほぼ難病映画と化してしまい辛いだけの描写が続き苦しかったが、前半はなかなかよかったかな。新聞記者として働く兄、学校を出たものの女遊びに走る弟、どちらも自分を出せない状況になっている苦しさがよく伝わってきた。
ただ、後半があまりに重く鈍重すぎる。丁寧な描写と言えなくもないが、個人的には好きではなかった。不治の病にかかってしまう弟、老人ホームに預けられたお祖母さんとあまりに死がのしかかってきて息苦しい。
悪い映画だとは思わないが、『僕の村は戦場だった』と同時受賞というには分が悪い。丁寧な演出も概ねよかったが、後半がちょっと辛かった。