爆裂BOX

EYEBORGS アイボーグの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

EYEBORGS アイボーグ(2009年製作の映画)
3.9
テロ対策の名のもとに政府が施行した「監視自由法」で導入された独立ロボット型カメラアイボーグ。捜査官のガンナーはふとしたこと疑問を持ち調査を開始し、驚くべき真相を知る…というストーリー。
「パイソン」のリチャード・クラボー監督によるすべての情報が監視された近未来社会に張り巡らされた陰謀を巡るSFアクションスリラーです。
監視自由法で国防情報監視ネットワークがスタートし、町の至る所に小型ロボットアイボーグが潜み、国民の動きを監視するアメリカ。そんな中で発生した大統領の甥暗殺未遂事件。だが、逮捕した犯人はアイボーグが撮った彼の犯行映像や監視自由法を推し進めた大統領の選挙すら何者かによる捏造だと叫ぶ。そして犯人が署内で投身自殺を遂げたのを機に、疑念を抱いた捜査官のガンナーらは真相を負い始める、という内容です。
ジャケットからはロボットとドンパチ繰り広げるB級SFアクションという印象受けますが、実際は結構シリアスなSFスリラーでした。
常に小型ロボットが人々を監視し、アルコールや煙草も禁止された社会という設定はディストピア感溢れてて良いですし、アイボーグに記録された映像や所内の監視カメラ映像を加工して、情報操作して国民を支配する設定もありふれたものではありますが、フェイクニュースやディープフェイクなどが問題になってる今の方がより身近に感じられるようになってますね。映像加工してウイスキーの瓶転がしたりして対象者を事故や自殺に見せかけて始末していく手口も狡猾さが窺えて良いですね。
登場するアイボーグのCGはちょい安っぽさは感じられるものの、小っちゃくてちょこまか動く姿が可愛らしい目玉の親父みたいな小型タイプに六本脚でクモみたいなタイプ、重火器を装備した戦車みたいなタイプ、ドリルや小型チェーンソー備えた人型など様々なタイプが出てくるのが嬉しいですね。小っちゃい奴もスタンガンやライター、小型ノコギリなど浸かって襲ってくるので意外と厄介。
ダニー・トレホが反アイボーグ主義掲げるギターの修理屋のオヤジ役で出演していますが、やっぱりというかアッサリ退場します。ヒロインがおばさんだったのは残念だったな。最後に見せる勇気は良かったけど。
主人公が大統領の甥ジャレットと密談する、アイボーグに監視されない場所が巨乳女子がピチピチタンクトップで素手や身体使って泡車体に塗りたくって洗車する「巨乳洗車場」なの笑った。見とれてるジャレットに「話聞けよ」と注意しながら主人公自分もちょっと見とれてるし(笑)
展開はアクションよりもサスペンス寄りで、序盤は関連性なさそうな話が続いて盛り上がりに欠ける所ありますが、後半になってそれらの伏線が回収されていく所も楽しいですね。大統領暗殺計画が明らかになって、回りくどい手口だなと思ったら、そこからさらに明らかになる展開もどんでん返しとして悪くなかったんじゃないでしょうか。実際CGですでにいない人再現できる今だったらマジでこういうことやる人や組織出てきそう。
クライマックスで展開される警官隊とアイボーグとの銃撃戦も結構激しくて良かったですね。
最後のオチも、最初にあったバンドの男とナンパした女が殺されるシーンやジムベキスタンから送金された大金などもこの計画の為だったのかとちょっと感心しましたね。最後は続編ありそうなラストでしたが、バーバラの残した映像を見て人類が嘘に気付いて目を覚ます時は来るのか、何を信じるべきか、ちょっと考えさせる余韻のあるラストと感じました。このまま「ターミネーター」の世界になりそうな予感もありますね。「ターミネーター・ビギンズ」ってパチモン邦題で出てもおかしくないくらい(笑)
小粒ながらも意外と真面目に作られてよくできたB級SFアクションスリラーだと思います。