爆裂BOX

黒い蠍の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

黒い蠍(1957年製作の映画)
3.9
メキシコ火山帯の噴火を調査している地質学者ハンクとラモスの2人は、サンロレンゾへ向かう途中、破壊されたパトカーと警官の死体を発見する…というストーリー。
「キング・コング」の特撮を手掛けたウィリス・H・オブライエンが晩年に特撮を担当したモンスターパニックです。
翌朝、牧場経営者の女性テレサが落馬した所に遭遇し助けた際、珍しい黒曜石をラモスが拾う。その石を割ってみると中から古代の小さな蠍が生きたまま出てきた。驚愕する間もなく、不気味な鳴き声と共に巨大な蠍が出現し、牧場を襲い始める、という内容です。
何といっても見所はやはり主役である巨大蠍等の怪獣たちですね。ストップモーションアニメで表現されてますが、これが結構ヌルヌルと滑らかに動くのは驚きました。襲われる人間もストップモーションで表してて、そちらはちょっとカクカクはしてますが、多脚類の足の動かし方とかこれだけ滑らかに表せるのは流石というほかないですね。蠍の顔アップやハサミのアップなどは模型製作してるんでしょうね。ジャケットにもなってる無邪気な笑顔浮かべてヨダレボタボタ垂らしてる蠍の顔アップは製作者もよほど自信があったのか或いはお気に入りなのか、何度も出てきます(笑)
巨大蠍たちは火山の中に広がる巨大洞窟に生息していて、噴火によってできた亀裂から地上に現れましたが、主人公達が巨大洞窟に潜入するシーンでは、蠍だけでなく二本腕でハサミ持った巨大尺取り虫や、クモガニといった他怪獣も出てくるのが楽しかったですね。クモガニは当初「キング・コング」に出るはずが、残酷すぎるとカットされた為に此方で復活したようですね(ピーター・ジャクソン版「キング・コング」で復活しましたが)この怪獣たちが蠍と戦い繰り広げたり、蠍同士でも戦い繰り広げたりと怪獣バトル成分ある所も楽しいです。
ストーリー展開は怪獣映画の王道という感じのものですね。最初に破壊された家や車や死体など怪獣の痕跡を発見して調査続ける主人公達の前に怪獣が姿を現すという。現地で知り合って親しくなる少年が主人公達手伝おうとして余計な事してピンチに陥る展開もベタですね。
前半は主に田舎町に現れて牧場を襲ったり、洞窟で異種バトル繰り広げたりして、火山を爆破して入り口をふさいで一件落着と思いきや、別の入り口から地上に現れた蠍がメキシコの都市部に侵攻していく後半と二弾構成みたいになっていて飽きさせない工夫されてる所も良いですね。線路上に現れて列車を横転させて、逃げ惑う乗客たちに襲いかかったり、人間まぐって蠍同士で戦い繰り広げたりとスペクタクルな見せ場用意されています。
生き残った巨大蠍がスタジアムで戦車隊相手に大バトル繰り広げる所は本作最大の見せ場ですね。砲撃しながら向かってくる戦車を引っくり返したり投げ飛ばし、空を飛ぶヘリをハサミで掴んで墜落させるその暴れっぷりはオブライエンの特撮も存分に堪能できて大満足。蠍に最終兵器の銛撃ち込んで外して、回収するときに感電した兵士がどうなったのかは結構気になりました(笑)それどころじゃないってのもあるけど、主人公達もそれほど気にしてなかったし(笑)
CG全盛の今だからこそ新たな発見も感じられたりして、怪獣映画ファンやモンスター映画ファンなら今見ても楽しめる作品でした。