このレビューはネタバレを含みます
「陽は昇る」
男が殺され、階段を転げ落ちる。それを盲目の男が発見したところから物語は始まる。犯人は隣人からも好青年と言われる男。警察の交渉にも応じず、部屋に立て篭もる男がそうなるまでの経緯を描く。
50年代の映画だと思っていたら30年代の映画だった。そう勘違いさせるくらいにはクオリティが高いし、絵が面白い。結構いろんな視点から撮影されており、単一単調な映像になっていないところが高評価。
ただテンポは物凄く悪い。90分しかないのに2時間に感じるほどゆったりとした映画で、犯罪映画の割には緊張感はあまりない。まぁどちらかというと恋愛の方に重点が置かれているし、立て篭もりのシーンはそこまでないので仕方ないのかもしれないが、もうちょっとテンポが良くても良いのではと思ってしまう。
だが、ラスト拳銃自殺した主人公の部屋に催涙ガスが投げ込まれ、彼の遺体をゆっくりと引きで映し出すシーンは結構好きだった。このシーンを考えると多少のテンポの悪さも致し方ないのかもしれない。
この当時、ジャン・ギャバンも30代と若かった様だが、そこまで若さを感じないほどの貫禄があった。ちょっとケネス・ブラナーに似てる気もした。名前は知ってたけど、なんだかんだ出演作を観たのは初めてだったので有名な作品くらいは手を出してみようと思う。