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歓喜に向ってのadeamのレビュー・感想・評価

歓喜に向って(1950年製作の映画)
3.0
巨匠ベルイマン初期のドラマ。
ヴァイオリニストの男が妻の死を知らされ、そこから7年前の結婚後に2人が辿って来た紆余曲折が振り返られて行く物語です。
まだ何も成し遂げておらず稼ぎも少ないのに野心と自尊心は高く、思うように評価されない慰めを外の女に求める夫としては最低な主人公にはまだ若い監督自身が明らかに投影され、スウェーデン映画界のレジェンド監督ヴィクトル・シェストレムがベルイマン後の名作「野いちご」に先立ち出演し、師匠的な役柄を演じているのも示唆的です。
ストレートなお話はありがちと言えばそうなのですが、分かりやすく感動して切ない想いに浸れる作品でした。
以前のベルイマン作品と比べるとクローズアップの使い方や画面の奥行きの出し方が秀逸なカットが増え、演奏中に鳴る電話をうまく使った演出も効いており、映像作家としての進歩が見られるのも良かったです。
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