サーフ

突撃のサーフのレビュー・感想・評価

突撃(1957年製作の映画)
4.2
監督:スタンリー・キューブリック、主演:カーク・ダグラスの戦争映画。

第一次世界大戦下のフランス軍で軍の大将はドイツ軍の陣地通称"アリ塚"を攻め込む為にミロ―将軍の師団に攻撃を命令する。
師団の疲労度や士気面からしてこの攻撃はあまりにも無謀であり、ミロー将軍の部下ダックス大佐は攻撃中止を具申するも聞き入られる事はなかった。
突撃命令が下されるも敵軍の銃弾の雨の前には何もすることが出来ず突撃は出来なかった師団。
突撃を実行しなかった事に対し大将は「敵前逃亡だ」とし、兵士の中から選ばれた3人が軍法会議にかけられることとなる…と言うのが大まかなストーリー。

「突撃」という題名からスペクタクルな戦闘シーンが前面に出た映画かと思っていたら、「軍法会議」というある種の法廷映画の要素の方が印象に残る映画だった。

無謀な命令を出す上層部、上層部と実際に戦場の最前線に出ている者との間で板挟みになる中間管理職、上の指示で徒に命を落とし続ける現場の人間。劇中見ながらずっと思ってたのが「彼らは一体何のために戦っているんだろう」という事。
この映画で死にに行く者たちは「国の誇りを守る」「愛する人たちを守る」という思いは無く、只管に疲れ切りそして無能な指揮官の無謀な指令の犠牲になっていくだけ。
上層部も現場の兵士を消耗品位にしか捉えていないし、見せしめの為に開かれる軍法会議のシーンは後味の悪さしか残らない。
そんな状況の中でカーク・ダグラス演じるダックス大佐が最後の最後まで「軍人としての誇り」を忘れずに行動していく姿が非常に印象に残る映画だった。

ラストの兵士たちの酒場でのシーン。最悪の環境の中で荒んだ彼らの心が清らかになっていくシーンは彼らの中に「人間」の部分が残っているという救いを感じられるが、同時に結局は戦争の徒花になってしまう救いの無い末路も想起してしまう。

軍法会議以降のシーンで思った事めっちゃ書いたけど、戦争シーンは非常にスペクタクルな物に仕上がってるし、クオリティはすげぇ高いので前半の一番の見どころはやはり実際の突撃シーンになる。
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