明石です

時の支配者の明石ですのレビュー・感想・評価

時の支配者(1982年製作の映画)
4.2
「彼は恋の病に冒されている。もう二十年も、この惑星に魅入られているんだ」

惑星探索に出た宇宙船が、SOSを受信。未知の惑星に閉じ込められた幼い少年の保護に向かうも、他惑星の人々に捕らえられたりし、救助になかなか向かえない。そうこうするうち、少年のいる惑星を、宇宙規模をも超える大カタルシスが襲う。

フランスの鬼才アニメ監督ルネ·ラルーの『ファンタスティック·プラネット』に続く二作目。ポランスキーの『テナント』の原作者(だったはず)ローラン·トポールが作画を務めた前作に比べると、今作の絵はシュッとしてて親しみやすい。色使いも全然キモくない笑。惑星間を旅するうちに異星人からおのおの気づきを与えられるというストーリーも、『星の王子さま』を思わせるスマートな古典SFっぽくて好き。一見すると設定はめちゃくちゃ『エイリアン』だけど、絵は『AKIRA』みたいにクールで、シナリオは『星の王子さま』と、古今東西のSFのルーツがここにありそうな気配さえある。

縞模様の網目のタイツを着た半魚人みたいな巨人が闊歩する世界で人間が家畜として支配されるあの究極にグロテスクな世界観に魅了された私としては、この二作目は、独創的なイメージが想像の埒外へ展開するという点では前作に負けず劣らず。超個人的な好みとしては、あのドラッギーなグロテスクさが恋しいなあという気がしてこないでもない笑(ヒエロニムス·ボスの地獄絵みたいな映像が好きなのです)。ラストの音楽カッコ良すぎて泣いた。こりゃ三作目も観るやろなあ。
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