似太郎

四十挺の拳銃の似太郎のレビュー・感想・評価

四十挺の拳銃(1957年製作の映画)
4.7
【「映画は戦場だ!」サミュエル・フラー】

中盤、唐突に大嵐のシーンが出てきて強引な展開で引っ張るこれぞサミュエル・フラー節。

この監督のガイキチっぽい作風に魅せられている私としては(鈴木清順同様に)カオティックな西部劇の逸品として楽しく鑑賞することが出来た。

やはり本作も『大砂塵』と同じで女ガンマンが牛耳る土地の話で、内容自体はドロドロした周囲の血縁関係に重きを置いている。ディーン・ジャガーが変な役で出ている。

これも一つの西部劇の「可能性」というか、外し玉というか。紛う事なきカルトなのである。アブノーマルな展開の数々に目が釘付けになる事間違いなし。

名手ジョセフ・バイロックのカメラが全編に渡って幽玄なムードを醸し出している。この人ならではのモノクロ撮影のコクというか、ドロドロゲチョゲチョした雰囲気がよりシュールな世界観を編み出しており誠に秀逸。

スコセッシやジャームッシュ、タランティーノも絶対に観ているであろうカルト西部劇の基本中の基本。一般的な映画に飽きてる人向け。
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