Omizu

レディ アサシンのOmizuのレビュー・感想・評価

レディ アサシン(2007年製作の映画)
3.8
『アクトレス~女たちの舞台~』などのオリヴィエ・アサイヤス監督作品。カンヌ映画祭アウト・オブ・コンペティションで上映された。

これはパッケージングが悪い。女スパイもの?アクション映画?となるジャケットや邦題だが、中身は濃密なヒューマンサスペンス。アサイヤス特有の官能的な描写も詰まっている。

アサイヤス作品にしては評判は悪いが僕は好き。本作は映画としては不完全だが、アサイヤス作品としては期待通りだった。

確かにストーリーとしては「レディ・アサシン」ではあるんだけど違うんよ。そこが主眼ではない。人を殺してしまったことでどんどん闇の社会に呑まれていく女性の心理を深く描いている。

とはいえ絶賛できないのも事実で、終わり方はもう少し丁寧に着地させられなかったのか…「えっ!ここで終わり!?」と笑ってしまった。

『パーソナル・ショッパー』に『WASPネットワーク』、『夏時間の庭』など作風の広さに毎回驚愕するアサイヤスの中では標準的な作品なんじゃないかな。アクションというより心理ドラマ。パッケージングに騙されず観てほしい一作。やっぱりアサイヤスは最高。
Omizu

Omizu