ゾロ

宮廷画家ゴヤは見たのゾロのレビュー・感想・評価

宮廷画家ゴヤは見た(2006年製作の映画)
3.5
ナポレオンでは、描かれなかった
スペイン侵攻とスペイン独立戦争について
興味があり鑑賞

原題は『GOYA'S GHOSTS』
邦題は『宮廷画家ゴヤは見た』

ゴヤが主人公かと思ったが
ロレンソ神父を中心に
18世紀末のスペインの
異端審問について描かれている

作中で最も自分の生き方と信念を持っている
ロレンソ神父が時代に翻弄されていく様は
痛々しくも憂いを感じる

異端審問にかけられるのは
ナタリー・ポートマン演じるイネス
無茶苦茶、可哀想で…辛い
その家族達も辛くて…

この二人の肖像画を描いたゴヤが
二人の人生を見届ける展開なので
実は、的を得た邦題になっていた


1792年 スペインのマドリー
既に、フランス革命は起きているが、
生活や言動からスペインへの影響は感じない

教会権威の衰退を感じている教徒達は
異端を取り締まる事で、相対的に
カトリックの権威をあげようとしていた
結果、犠牲になってしまったのが…イネス

イネスの父親の追求から、虚偽の自白を
してしまったロレンソ神父も教会に追われる

1793年 アンリ16世処刑の連絡が来て
従兄弟にあたるカルロス4世が驚き…
イネスの行方やゴヤの絵画への苦言の
話がないまま、いきなり  15年後

1808年 追求されていたロレンソ神父は
フランスに逃亡しフランス人となり
革命の煽りを受け自由、平等、博愛を叫び
マドリーに戻ってきた

フランス革命の精神から、異端審問で
囚われていた者達の開放が行われた

イネスも開放されたが、精神異常が見られた
 子供を産んだ…という

この後、時系列が明確に表されないが
スペインの反乱と独立戦争は1814年で集結

イネスの子供もナタリー・ポートマンが
演じるが一つだけ違和感が出てしまう

ん?15歳は無理あんじゃね?
1808年の設定では無いのか?

スペインが独立を勝ち取ったようなラストは
1814年を描いているのか?
途中の勝利なのかな?

ゴヤの絵画がもっと見れるかと思ったが
エンドロールで複数、出てくるだけで
作成の経緯や依頼主、精神状態等
絵画に纏わるEPはほとんど無い


フランス革命の有名人として
ルソー、ダントンの名前
対ナポレオン戦争における英雄として
ウェリントン伯爵の名前が出てきていた

後に肖像画を、描くので
この皮肉はニヤリとする

スペインを侵略して、統治下に入れた
ナポレオンは、悪魔かもしれないが
異端審問で囚われた人達や人権を蔑ろにされた人達にとっては、英雄だったのではないか

ナポレオンの撤退後、再び教会権威が
復活してしまうあたり、揺り戻しは起こるし
革命や社会変革は一筋縄ではいかないと思う
ゾロ

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