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運命の皮肉、あるいはいい湯をのvilljobbaのレビュー・感想・評価

3.5
ロシアの定番年末ムービー。
みんなが年末に観るらしい。

ソ連時代、どこの街も共産主義特有の同じような通りの名前ばかりで、建物も共産主義らしい量産型アパートだらけでした。
泥酔した主人公が、間違えてモスクワからレニングラード行きの飛行機に乗ってしまい、街違いの同じ住所の部屋に帰宅してしまうことから始まるラブストーリー。

ロシアでは年末年始にクリスマスを祝うので、去り行く年の哀愁とクソ寒い冬の憂鬱、そしてクリスマスのお祝いが同時にやってくる不思議な雰囲気があります。2020年の年始はロシアへコロナ前最後の旅行していたので、なんだか切ない気持ちになりました。

主人公にも相手となる女性にも婚約者がいて、主人公のアホなミスによって両方の恋愛関係が崩壊してしまう。
主人公が飲み会の誘惑に負けたことがキッカケなのもあって、正直「偶然が生み出したハッピーな奇跡」には見えなかった。
それよりも、現実にはアホなミスや理不尽な不運によって人生上手くいかないことがたくさんあるけど、完璧な結果でなくてもその中から幸せを見つけ出せるかもしれないんだ、というリアリティーのあるメッセージなのかと思えた。

主人公も行動がメチャクチャでとても聖人善人には見えないところも共感を誘う。

運命の皮肉とかいうタイトルではあるけれども、この世に運命など存在しない前提な、理不尽な現実を見せてくれる映画だと思った。
ストレートにハッピーな奇跡のクリスマス映画みたいなのよりもこういうのが好み。

с новым годом!
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