前方後円墳

be found deadの前方後円墳のレビュー・感想・評価

be found dead(2004年製作の映画)
3.0
遊園地再生事業団+ニブロールの「トーキョー/不在/ハムレット」という舞台から派生した作品。
「欲望の旅の果てに」(鈴木謙一監督)、「2話」(浅野晋康監督)、「イマニテ」(宮沢章夫監督)、「オリエンテ・リング」(冨永昌敬監督)、「川」(宮沢章夫監督)の5話オムニバスから成り立っている。
物語そのものは明瞭だ。「死体を発見する人」の日常であり、非日常を描いており、エピソードごとに違った「死体発見」を見せてくれる。生と死の邂逅は唐突であり、ごく自然のことのように語られる。ただし、そこに衝撃はなく、ふと日常に存在する違和感のように感じられるだけだ。「川」に見られるオフィーリアのごとく川の流れる死体に息をのむようなものはなく、どことなく造形物の匂いがする。
それぞれに奇怪な場面があろうがなかろうが、まるで多くの記録のひとつのように容赦なく淘汰され、削除されていくような空気がかえって新鮮でもある。死体発見者のような曖昧な感情がどうにも作品全体に流れているような気がする。

特筆するとすれば、南波典子の朗読のどことなく危うい声音が美しい。