MitsuhiroTani

黒部の太陽のMitsuhiroTaniのレビュー・感想・評価

黒部の太陽(1968年製作の映画)
5.0
昨年の夏、始めて黒部ダムに行った。観光放水の迫力には驚いたが、それ以上に、大自然と対峙するダムの迫力に、ある種、古代の神殿を仰ぎ見る心境に至り、建設当時の関係者の叡智を尽くした奮闘が逆にイメージし辛かったことを覚えている。しかしその後、これまで許されなかった本作のDVD化が実現し、漸く知られざる苦闘を知ることができたのである。
果たして作品は、登場する全ての人々の、画面から飛び出さんばかりの熱演と、迫力ある映像が、まるでドキュメンタリー番組のようであり、今でも十分通用すると思う。そして、トンネル開通時に挨拶する三船敏郎を見て思った。あの顔は、プロの映画俳優が、本作の為に時間をかけて作り上げた魂のこもったものであり、表層的な演技で作り上げることは出来ないと。
映画人の減った日本では、もうこのような作品は出来ないのかな。
MitsuhiroTani

MitsuhiroTani