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黒部の太陽のIdeonのレビュー・感想・評価

黒部の太陽(1968年製作の映画)
4.0
 関西電力の北川は社長の大田垣から黒四ダムの建設を指揮するよう依頼される。最初は固辞していたが、大田垣の熱意に押されて引き受けてしまう。大手ゼネコン勢揃いでかかる前代未聞の大工事である。まずは黒部峡谷にトンネルを貫通せねばならない。元請けから下請けまで揃っての話し合いの席に、掘削工の棟梁、岩岡の息子、剛が訪れる。京大で建設を学ぶ剛は、この鉱区にはフォッサマグナが通っており、開通は不可能だと警告するが、500億を超える予算をかけた大事業は動き出してしまう…というお話。
 三船敏郎が三船プロ、石原裕次郎が石原プロを率いて、総力を上げて製作した超大作。演劇界の重鎮たちが綺羅星のように総出演しており、どんなに台詞の少ない端役でも魂の籠った演技を披露している。監督は熊井啓で、2人のビッグスターのバランスをとることはもちろん、豪華な出演者に何らかの見せ場を用意するなど、見事な交通整理ぶりである。CGなどカケラもなかった時代なので、俳優たちは実際に黒部を訪れ、トンネル内は巨大なセットで再現されている。国力の衰えた我が国では、このような工事は2度とできないだろうし、こんな映画も作ることはできないだろう。
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