CHEBUNBUN

下女のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
3.5
【韓国の『召使』】
ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』が楽しみなブンブンは、インタビューや海外の記事を読み漁っているのですが、The Korea Heraldによると、本作はキム・ギヨンの名作『下女』の要素を取り込んでいるとポン・ジュノ監督が語っていました。『死ぬまでに観たい映画1001本』に掲載されている本作は、オーソドックスな家乗っ取り物語であり、なんとその代表であるジョゼフ・ロージーの『召使』よりも先に作られている作品とのこと。ということで予習で観てみました。

本作は何と言っても、小道具、舞台装置の使い方が面白い。

前半、息子が松葉杖を使う娘に嫌がらせをする。お菓子の袋を持って階段上に登り、「やーい、やーい、お前はここまで来れないだろう。」といじめる。母親は制止しようとするのだが、父親は「やめなさい。甘やかすな。」と言う。娘は、一生懸命階段を登るが、遂には倒れてしまい、泣き始める。少年が駆け寄り、ごめんよと袋を差し出すと、それを彼女が奪い取り、その泣きは嘘であったことが発覚する。この騙しは映画を象徴する。

ブルジョワの召使いとして現れた魔性の女が、段々と家を乗っ取っていく未来を予感させるのだ。そこで効果的に使われるのはピアノである。ピアノの先生である、父はピアノを簡単には使わせない。選ばれし者のみが触れることのできるものとして機能する。しかし、後半にいくに従って、「お金のためにピアノを弾かなくてはならない。私に教えさせてくれ。」と叫ぶようになるのだ。下女はマリオネットのように家族を制圧し、見えざる意図によってこのブルジョワはコントロールできない自己に苦しむのです。

これがどのように『パラサイト 半地下の家族』に結びついているのか観るのが楽しみです。少なくても、ただの官能映画になってしまっているリメイク『ハウスメイド』よりかは上手い使い方をしているでしょう。
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