【第72回アカデミー賞 脚色賞ノミネート】
脚色賞に3回、監督賞に3回ノミネートされている名匠アレクサンダー・ペインの長編2作目。
『ネブラスカ』『サイドウェイ』『ファミリーツリー』と傑作しかないアレクサンダー・ペイン。この作品も期待を裏切らない超ブラックな傑作だった。
個人的には橋口亮輔監督と共通点が多いと思っている。二人とも寡作で、ブラックなユーモアを取り入れた隙のない作劇をするところが似ている。ただ、アレクサンダー・ペインは初期作の方が尖っているのに対し、橋口亮輔はどんどん辛辣になってきているのが対照的。
邦題はホントに問題あり。原題は「Election」で、生徒会選挙の話。会長候補者3人と教師1人の運命が絡まりあっていく。
本当に意地悪な話で、誰もが嫌なところを持っているのがまざまざと見せつけられる。トレイシーは平気で嘘をつき、ポールは空気が読めず、タミーは思い込みが激しく、ジムは自信過剰である。
でも人間ってそういうものだよね。見終わると人間ってほんとどうしようもない生き物だなと思う。
もう一度観ようとは思わないくらい人の醜いところを見せつけられる。意地悪な大傑作。
