鴨かもメロン

カラフルの鴨かもメロンのネタバレレビュー・内容・結末

カラフル(2010年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

死ぬってもったいない。

良い点
・序盤で描かれる主人公の性格の悪さ
・晩御飯にハンバーグを食べるシーンに出てくるフラッシュバックのようなもの(パンにバターを塗る母の手、ハンバーグを捏ねる母の手、シーツを撫でる母の手)
・実在する場所、そして中学3年生という色々考えてしまう年齢設定による親近感
・派手に変わらず。ほのかな変化にとどめているところの現実感

悪い点
・主人公の演技がお世辞にも上手いとは言い難い
・ある程度予想はつくオチ(意外性は求めてないので個人的には気にはならない)

「ぼく」は死んだ。
 死んだ先でプラプラという天使とも悪魔とも言えない少年に生き返るチャンスを与えられ、前世の過ちを償うホームステイの修行と称され「小林真」という薬物自殺を図り入院中の少年と入れ替わって生き返る。
その後「真」という人物の周りにある様々な問題と向き合っていく話。

感想

主人公・小林真(以下、真)とプラプラなのだがとにかく演技が目立つ、プラプラはキャラデザ自体も幼さを感じるためあれでいいと思うが真は…
特に鍋を囲み団らんするシーン。
絵が上手いから高校はここがいいんじゃないかと提案した兄、実際に通える距離かと下見しにいく母。しかし、その提案を断り「初めてできた友達と同じ高校に行きたい」という胸の内を話す展開なのだが本当にひどかった。
ただ、演技抜きにすればたった一人友達ができただけでも真は変われた、難しいことはしなくても変化ってあるんだなと。

真は中学1年生の時にいじめにあって全て同じ色に見えてしまっていたかもしれないけど、気づいていなかっただけで誰かが気にかけてるし大切に思ってる。
真は辛いこと続きで汚い色だけが見えてしまっていたけど早乙女という友人との出会いをきっかけに「自分が思っている以上に誰かが大切に思ってくれていたり気にかけてくれる人がいる」「人はいろんな色を持っていて綺麗な色・汚い色がある」という事に気づくことができてよかった。
それを知らずして死んでしまった。だからこそ”ひろか”へ向けて発した「死ぬのだけはやめた方が良い」には彼女諭すだけではなく、真自身の後悔の気持ちがでている。

小林家について

上記の鍋を囲み団らんするシーンまでまともに口を開かなかった兄は「成績不振な弟の真を見下し冷たくしている兄」…と思っていたが真の自殺未遂を機に、なるべく会話の機会を増やそうと大学受験が忙しいのに予備校から一旦帰って真と晩御飯を食べたり、不良にケガさせられた時は必死に探して家まで運ぶ、母親とともに真の高校探しを手伝うなどその兄の優しさに心がぎゅっとなった(…が真の演技に「あちゃー…」と持っていかれた。)

真は父のことを見下していたそうだが釣りをきっかけに少し距離が縮まるラーメンのチャーシューや煮卵を上げたりするシーンはさりげないながらも愛情を感じる。
母も仲の悪かった祖母の面倒を礼の一つ言われず最後までみたことで心労がたたり不眠症になったり一時は不倫をしたり(真の自殺の要因)するが真の自殺未遂を機に不倫相手と縁を絶ち、今まで出来合いの総菜ばかり買っていたところを温かい手料理を振る舞うなど変化が現れた。

クラスメイトについて

早乙女は本作のキーマン、彼と玉電の線路跡を巡ることで親しくなっていく
佐野唱子というクラスメイトは真同様にいじめられていたが真の決して泣かない様を見て「自分も耐えよう」という仲間意識を持ったり(勇気づけされた?)と妙にリアル。
桑原ひろかは真がひそかに思いを寄せていた後輩、特に語ることはない。が、彼女もそれなりに闇を抱えておりいわゆる援●交●をしているわけだが(これも真の自殺の要因)精神が不安定になった彼女を真が諭すシーンには成長が見える。
鴨かもメロン

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