ぶみ

ファイナル・カウントダウンのぶみのレビュー・感想・評価

3.5
一瞬の青白い稲妻の中に、歴史の逆転を見た。

ドン・テイラー監督、カーク・ダグラス、マーティン・シーン等の共演によるSFドラマ。
1980年から、突如、真珠湾攻撃直前となる1941年12月7日にタイムスリップしたアメリカ海軍原子力空母の姿を描く。
主人公となる空母ニミッツの艦長をダグラス、たまたま乗船していた空母建造会社の民間人ラスキーをシーンが演じているほか、ジェームズ・ファレンティノ、チャールズ・ダーニング等が登場。
物語は、冒頭空母から戦闘機が飛び立つという、後年の大ヒット作、トニー・スコット監督『トップガン』を彷彿とさせるようなシーンでスタート、以降、アメリカ海軍全面協力とのことであることから、数多くの戦闘機や戦艦が登場し、結構多くの時間が冒頭のような離発着等のシーンに割かれている。
そんな中、謎の青白い嵐のような渦を通過すると、1941年にタイムスリップしたというトンデモ設定なのだが、絵面にあまり変化はないものの、何が起こっているのかわからない中、徐々に置かれている状況を乗員が理解し始める過程が非常に面白い仕上がりとなっている。
また、タイムスリップを扱ってはいるが、基本空母の艦内を舞台としたワンシチュエーションものとして展開していくため、過去の時代設定に対する街並みやガジェットにあまり予算をかけずに成立させているのも、本作品の妙。
ただ、そんな中でも、中盤にあるF-14トムキャットと日本軍のゼロ戦とのドッグファイトは、なかなかの迫力であり見どころの一つ。
加えて、民間のヨットでクルージングしていた女性がどこかで見たことあるなと思っていたら、マイク・ニコルズ監督『卒業』で、主人公の幼馴染で印象的なラストシーンを演じたキャサリン・ロスであったことと、ラスキーを演じたマーティン・シーンが、息子であるチャーリー・シーンにソックリだったことも見逃せないポイント。
流石に時代からして、前述の謎の嵐や爆発シーンのCGが安っぽいのはしょうがないし、タイトルほどにカウントダウン感を煽るような緊張感はないものの、実写の海軍とタイムスリップの融合は案外相性が良かったと感じるとともに、そんなトンデモ設定ながら、オチが綺麗にまとめられている一作。

暗号は「ニイタカヤマノボレ」。
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