浅野公喜

ブロークン・ジェネレーション/撲殺!射殺!極限の暴力少年たちの浅野公喜のレビュー・感想・評価

3.9
高校を卒業したばかりの少年二人がロサンゼルスに赴き非行の限りを尽くすチャーリー・シーン主演の青春バイオレンス。監督はロジャー・コーマン御大の門下生的存在で女性のペネロープ・スフィーリス。

同級生達のパーティーでひと暴れガソリンスタンドの店員をノズルで殴るお婆さんに瓶を投げつける女性を車にしがみつけて暴走、更にゲイの男性やカップルを銃殺と残酷描写こそおとなしめながらスラッシャーの如く人が死ぬ様は時に嫌悪感、またある時には(自分自身鬱屈したものを時に抱えるせいか)爽快感が。そして作品を通じて銃社会は勿論ホモフォビアにインセル、ネグレクト、容疑者はアフリカ系とメキシコ系だと言う老人からは人種偏見(差別)が伺える等アメリカが抱える闇を巧みに描いており自分も好きなグレイト・ホワイトやイギー・ポップといったロックとLAの夜景がザラザラとした緊張感を生んでいます。

ちなみにお婆さんがケガした際には怒って少年二人を追い掛ける女性達も登場しますが、これはアメリカは酷い人間も多いと同時に正義感が強い人間も多いという事(=闇の中の光)を示唆しているのかもしれません。

また、有名なのはチャーリーの方ですがもう一人の少年演じるマックスウェル・コールフィールドの何をしでかすか分からない鬼気迫る演技も必見で彼が駆るグレーのプリムス・サテライトも格好良い。

ところで二人がゲイの男性の家に招かれマックスウェルの役の方が上半身裸になると男性が一瞬うっとりするような表情を見せるシーン、軟弱な男性(=ゲイ)と嫌悪しゲイに見られない為に体を鍛えマッチョを目指す風潮がアメリカには有るみたいですが、シーンと風潮を照らし合わせるとむしろマッチョになるほどゲイのイメージに近付いているという矛盾を感じるのですが如何でしょうか(「Playgirl」をはじめ向こうのゲイ雑誌も大体マッチョばかり取り上げられてます)。
浅野公喜

浅野公喜