浅野公喜

こいつで、今夜もイート・イット アル・ヤンコビック物語の浅野公喜のレビュー・感想・評価

3.7
マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」のパロディ「今夜もイート・イット」で知られ、日本の「オレたちひょうきん族」にも出演した事もあるパロディ歌手兼アコーディオン奏者アル・ヤンコビックの自伝(風)コメディ。アルを演じるのはダニエル・ラドクリフ。

アコーディオンの才能を開花させるも厳しい父親と対立し家を出て、その後たまたま思いついたパロディ曲が受けスーパースターとなり、数多くのパロディ曲が出来ていくエピソード&そのパフォーマンスを描いていくのが大まかな流れ。

事実に忠実かと思いきや、マドンナと出逢った以降や「今夜もイート・イット」がオリジナルでマイケルがそれをパクッた云々と騒ぐ辺りから曲だけでなく今作そのものもパロディと気付かされ、その後は恋人となったマドンナが麻薬カルテルに誘拐されメキシコに単身乗り込み「ランボー」の如く暴れる始末。

その暴れっぷりは案外大人しい&短く、もっと面白く出来た感じがしなくもないのですがその後は仲違いしていた父との和解も描き、感動的に終わるかと思いきやミュージシャンの自伝映画あるあるの悲劇的最後(勿論捏造)を遂げ、更に写真でアルの生涯(一部捏造)が伺えるエンドロールに「キャリー」なオチが待ってたりと彼らしく締めてくれ、この辺りはかなり充実してます。

ダニエルの見事な演じっぷりも必見ですが、アル本人も実際に所属していたレコード会社スコッティ・ブラーザーズ(JBやサバイバー、悲劇のLAメタルバンドのライオンらも所属)の設立者を演じてます。

また、洋楽好きなら序盤のパーティーでジャック・ブラック演じるウルフマン・ジャックにダリ、ウォーホル(「15分だけ時間をやろう」という台詞有り)、存在感薄目故に?拍手がまばらなクイーンのジョン・ディーコンらに混じりディーヴォやエルトン・ジョンにアリス・クーパー、フランク・ザッパらしき面々を見つける事が楽しいかもしれません(実在した歌手について言えば個人的に終盤の授賞式でアコーディオン部門なのに何故かそわそわしているプリンスらしき人物にウケました)。

ちなみにアルは現在も北米では第一線で活躍しており、約10年前ながら最新アルバムは全米1位を獲得。これを機に前述の「ランボー」のもっと濃いパロディも含むアル主演の傑作「パロディ放送局UHF」も再注目&どこかで配信されると嬉しいですね。ガンズにジョージ・マイケル、プリンスらのPVをパロディにした主題歌の「UHF」のPVもアルに興味を持った方ならオススメ。

"Weird Al" Yankovic - UHF
https://youtu.be/NUi926ses94?si=BPWKNvnk50nGwoxo
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