半兵衛

テンダー・マーシーの半兵衛のレビュー・感想・評価

テンダー・マーシー(1983年製作の映画)
3.9
かつてはカントリーのスターだったが今では落ちぶれてしまった男が歌手として再起するまでを淡々と描いたいつものハリウッド調とは違う静穏な語り口は単調ではあるが奥深い演出により結構魅力的に仕上がっており、新たな親子が死も再生も過去も未来もすべてさらりと受け止めて(子供が母親と交わす会話が深い)前向きに生きていくラストが心地よい佳作。

ロバート・デュヴァルの物静かな中年男の繊細な演技をはじめ役者陣の演技はいずれも素晴らしく、主人公が安住の地とするモーテルに住む母子(母親は若い頃のエレン・バーキン)のどこか陰のある演技も心に残る。そしてデュヴァル本人による歌声も聞き所。

『ピクニックatハンキング・ロック』や『クロコダイル・ダンディー』の撮影を手掛けたラッセル・ボイドによる、乾燥しているがどこか温かさを感じさせる舞台となるテキサスの映像が印象的。
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