砂場

アニキ・ボボの砂場のレビュー・感想・評価

アニキ・ボボ(1942年製作の映画)
4.8
1942年オリヴェイラの初長編にして完全なる傑作。この作品の後彼は二十年近く映画が撮れないというのが信じられん。
個人的には少年映画ではアッバス・キアロスタミの「友達のうちはどこ」と同じくらいの傑作度


ーーーあらすじーーー
■向こうから機関車🚂がこちらに向かってくる、誰かが足を滑らす
、、、女の子の絶叫
■カリトス!いつもこの子は、朝の支度が遅いカリトスを母は怒っている。ダッシュで学校に向かうカリトス
カバンにはALWAYS FOLLOW THE GOLDEN RULEの文字
■店主はちょっと間抜けで太っている店員に怒鳴りつらす、お前はいつも変わらんな!生まれつきのアホだ
■カリトスのマドンナが2階から手を振る、カリトスは転けて顔が砂で真っ白に、学校の授業中、一人のチビが遅刻してクラスの前に座らされた。
メガネの優等生、ガキ大将エドアルド。いつも怒っている先生
■路上でバンドが演奏している、子供たちも合わせて歌う
■マドンナの名前はテレジーニャ、カリトスは遊ぼうよと誘う、ガキ大将のエドアルドも彼女が気になる様子、おしゃべりしようよ、もううち帰らないと、
■運河で泳ぐ子供たち、チビは水が怖いので入れない。エドアルドはしつこく誘うので、カリトスは、ほっとけよといって喧嘩に
■テレジーニャは雑貨屋の店頭の人形に魅入っている、そこにカリトスが来た、目の周りにアザ、誰にやられたの?
自分でこけたというカリトス。人形好きなの?
■カリトスはチビと相談している、どうやったら人形が買えるか、、
高くて買えないよ、そうだブタの貯金箱は??
チビはブタの貯金箱を割ってコインをかき集めるが、店主は
30エスクードだ、これじゃ足りないよと彼に冷たくいう。
■カリトスとチビは、億万長者になりたいな、学校を買うんだ!、そして休みにする、車も、ステーキも
■店主は客とスーツの生地のの話をしている隙に、カリトスは人形を万引きした。
■エドアルドはテレジーニャにカリトスなんか弱っちいぜ、俺なんか筋肉ついてると自慢する。
■店主は人形がないことに気がつく、あいつだ、、ブタ🐷の貯金箱の
■♪Aniki Bobo♪と歌いながら遊ぶ子供達、
♪兵士、水兵、金持ち、貧乏、警察、泥棒♪など役割に分かれて追いかけっこだ。エドアルドはカリトスにお前は泥棒役だというとカリトスは嫌がる、人形を盗んだ罪悪感、、自分の影に怯える、捕まえた!エドアルドの顔と警察がだぶる
■人形を服に隠し、二階から家をこっそり抜け出る、屋根をつたってテレジーニャの家の窓をノック。僕だよ、夜中の3時だ、人形を渡すとテレジーニャかわいい!!と大喜び、カリトス屋根から落ちそうになる、明日ね、、
■タコを作るため紙を雑貨屋に買いに来たエドアルド、店主にあんたの葬式には行ってやるぜと悪態をつく。
店主は、エドアルドが人形を盗んだのでは?と怪しみ後をつける。
■テレジーニャを取り合ってエドアルドとカリトスが喧嘩に、そこに汽車の音。子供たちは汽車を見に線路のみえる高台に立つ。
エドアルドが足を滑らせた、、カリトスは手を伸ばしたがエドアルドは線路脇に転落、動かない。子供たちはカリトスが押したと非難する、、違う、、僕じゃない!破れた凧🪁
■救急車🚑で運ばれるエドアルド、子供たちはもうカリトスとは話さない、俺も俺も、、カリトスはチビとテレジーニャに向かって君も疑うのか?と聞くが、チビとテレジーニャは無言であった。
■誰かが死ぬと星🌟が生まれるんだって、、悪魔が連れてってしまう、悪魔なんっていないよ、、
■カリトスは悪夢を見た、人形、炎🔥、列車🚂、店主
学校ではクラスメートがカリトスに冷たい視線
■病院にお見舞いにきたテレジーニャ、人形なんていらないと
独り言を言うとそれを聞いていた店主、君が人形をもらったのは
どっちかね?? カリトスかエドアルドか、、カリトスです
店主は優しくテレジーニャにいう、自分は一部始終を見ていた、エドアルドは自分で足を滑らせたんだよ、カリトスが押したのではない
■カリトスはこの街から逃げたくて船🛥に潜り込んでいたが船員に見つかり降ろされた。カリトスが一人で海辺にいると、仲間たちがやってきてカリトスじゃなかった!と嬉しそうにいう。テレジーニャも人形を持ってきていた。店主の証言で疑いが晴れたのだ
ALWAYS FOLLOW THE GOLDEN RULE


<💢以下ネタバレあり💢>
■カリトスは店に来て人形を返しにきました、テレジーニャにはみんな話しました、あと謝りに来ましたというと、店主はこれはテレジーニャにあげたものだ持ってけとカリトスにいう。エドアルドが退院したら仲良くしろよ
チビは物欲しそうにしていると、キャンディ🍬も持っていって良いぞというとスッカラカン。
子供達の姿を微笑ましく見守る店主、店員は猫🐱を持ってきて一悶着、、、
ーーーあらすじ終わりーーー


🎥🎥🎥
42年の映画というと一般的にはクラシックということになるが本作は画面の美しさ、カットのセンスなど全く古さを感じさせない、というか永遠のスタンダードだろう。
少年の目から見た世界は、いつも怒ってるお母さん、めんどくさいけど楽しい学校、かわいい女の子、ライバルのガキ大将、、、そして小さな犯罪
この映画は少年の物語であるが、優れたサスペンス映画でもある。冒頭の女の子の絶叫がまさかあのように繋がるとは驚きだし、後半は特に一瞬も目を離せないハラハラ感がある。

ポルトガルの街並みは密集した家、高低差のある狭い階段、裏路地、それを抜けると運河という映画的に素晴らしい構図を提供する。街自体が子供の遊び場であり複雑な陰影は悪夢の中のようでもある。

個人的オールタイムベストの大傑作「アブラハム渓谷」もそうだが、オリヴェイラの作品を見ることが困難な状況はなんとかしてほしい。どうでもいい映画のBDとかネット配信とか溢れてるんだけど、、、

ちなみにAniki Boboというのは日本で言うとドロケイのような追いかけっこみたい。
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