トムコーディ

BRUCE LEE in G.O.D. 死亡的遊戯のトムコーディのレビュー・感想・評価

BRUCE LEE in G.O.D. 死亡的遊戯(2000年製作の映画)
5.0
 これぞ燃えよドラゴンと同じくらい、老子の哲学のエッセンスが詰まった名作になったであろう未完の作品名!死亡的遊戯!、偽物のあんな取ってつけて作った死亡遊戯とは訳が違う。
 真実のストリートは、アジア格闘家チャンピオンのハイティン(ブルース・リー)が、家族と旅行する空港で謎の組織に妻と子供を拉致され脅迫にあう、組織のボスからは、とある武道家達により厳重に守られている寺院の五重塔の最上階にある宝を、奪ってきて欲しいと頼まれる。ボスが集めた格闘家とともにハイティンは、その五重塔へ向かい、異種多様な、格闘家が待ち構えている五重塔の上階へと上がって行くのであった・・・というお話なのであるが。
 この映画には、老子の哲学のエッセンスが盛りだくさん詰め込まれた作品になっていたであろう。始まりの冒頭から雪景色の五重塔の脇に映る、降り積もる雪により折れてしまう太い枝と対比し、柳の様な弱々しい枝は、というと折れることなく下へしなだれ、雪だけを落とし、何事もなかったように柔軟にまたしなやかに、もとの位置に戻る。という意味深なシーンから始まるこの映画!まさに何を言わんとしているか、そう老子の水をさしているんですよね。上善、水の如し(最良の善というものは、まさに水のようなもの)。
 ラストの塔での死闘に出てくる、竹をもつブルース・リーがダン・イノサントと戦うときに語られる台詞がまさにそれ。太く硬い物の方が、見た目は剛強に映るが、しかし細く弱々しく見えるがしなやかで柔軟な竹こそが生き生きとした動きでどんな事にも対応できて最強なのであるとハイティンは語る。
 お前のような型や形(ルーティン=常道)ばかりでは、俺の型破りな柔軟でしなやかな動きについてこれない(我流は常識を覆す)、だからお前は今非常に不利な状況にあるのだ!と言う台詞!分かる人には分かる老子の水の哲学(タオイズム)がたっぷりと皮肉めいて入ってます。
 また、この着ている黄色のトラックスーツにもブルース・リーはちゃんと意味を込めてこの服を着ています。格闘には動きやすくまた蹴りなどの技がしなやかに且つ優美に見えるように、選んだと言われてます。
 ではこの色何故か?と思う人もいますが、気づく人は気づく!そう!この世の自然界、生態系において、1番危険!恐れるものの色は黄色と黒色のストライプ!!
 なんですよね。蜂であったり、ウミヘビであったり、虎など現代では遮断器までもそう(危険、最も注意しなければならないもの)。自身をそんな最強に危険で注意しなければならないものの象徴のように。そんなことを意識し考えてブルース・リーはこのトラックスーツを着て映画撮影に臨んでいると思うと芸術を超えて、本当に尊い思考による作品と感心します。
 ブルース・リーに生きててもらって本当に完結して作ってもらいたかった作品です。