えいがうるふ

マザーウォーターのえいがうるふのレビュー・感想・評価

マザーウォーター(2010年製作の映画)
3.5
決して嫌いじゃない。
私は勝手にかもめ食堂系と呼んでいるが、全国津々浦々にカフェ好き雑貨好きがいるように、心のサードプレイスとでも言うべきこのタイプの作品に一定の需要があるのはよく分かる。
バー、カフェ、豆腐屋、銭湯、アンティーク家具屋?どの店もとても居心地がよさそうで、いつも清々しいほど客がいない。それでもどの店もマイペースに丁寧な仕事をして、それぞれの店主が客となってぽつぽつとお互いの店を行き来しているだけで経営が成り立っているらしい謎の町を舞台に、オサレ雑誌から抜け出てきたように生活感のない妖精じみた大人たちが素敵ライフを送っている。
もちろん、出てくる食べ物はどれもすごく美味しそうだ。
でも、あれで採算が合うってことは、きっと目ン玉飛び出るようなお値段に違いないのだ。あるいは、お金なんか要らない世界の話なのだ。
ぶっちゃけ時間もお金も相当の余裕が無いと実現出来ない夢のように贅沢な生活が描かれているのだが、その憧れの世界を誰にでも手が届きそうに見せる手法が絶妙。
つまり庶民の娯楽たる映画として、非常に正しい在り方だと思う。