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ベルリンのリュミエールのいののレビュー・感想・評価

ベルリンのリュミエール(1995年製作の映画)
3.8
映画黎明期、シネマトグラフのリュミエール兄弟があまりにも有名だけど、同時期にベルリンでビオスコープを発明したのはスクラダノウスキー3兄弟。のうち、マックス・クスラダノウスキーという人物をウド・キアーが演じています。今作は、ヴィム・ベンダースが学生たちと共同制作したセミ・ドキュメンタリーとのこと。


①当時の映像かな?と思うような撮り方で創られた回顧録 ②マックスの愛娘(といってもその時91歳。驚くほどの記憶力で、当時の様子を語ってくださいます)へのインタビュー。そのインタビューを行っているヴェンダース&スタッフの傾聴する姿勢もいい! ③黎明期の映像


全篇にわたってあたたかさに満ちあふれている。映画を発明するよろこび。機器を改良する楽しさ。はじめのうちは写真を切ってパラパラ漫画のようにして、それを企業の広告として使っていたというエピソードも興味深かった。映画のコマ送りのための穴も自分たちで開けたとか(ハトメって単語、初めて知りました)。フラーの「蛇の踊り」の話も出てきたけど、それは以前観た映画『ザ・ダンサー』の元ネタだったのか。


映画ってそもそも、みんなが集って笑ったりよろこんだりする娯楽からはじまったんだよなぁ、ってあらためてしみじみと思いました。この映画全体にユーモアの精神が貫かれていて、ヴェンダースの先人たちへの敬愛の情がすごく伝わってくるから、観ていて本当に気持ちがいい。
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