明石です

さらば愛しき女よの明石ですのレビュー・感想・評価

さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)
4.1
7年間のお勤めを終えて出所した男が、かつての恋人を探すのを手助けする私立探偵の数奇な物語。レイモンド・チャンドラーの3作目の映画化作品。フィリップ・マーロウを演じた歴代俳優の中で最もマーロウに近いイメージの男ロバート・ミッチャムが主演で、彼の一人称によって語られるモノローグが物凄く好みでした。自由の女神みたいな大男とか、受付の男に話をさせるのはプルタブの取れた缶を開けるくらい骨が折れるとか、原作由来の比喩表現に気が利いてて聴き応えアリ。

主人公をタコ殴りにするゴロツキの役に見たことある人が、、と思ったら若い頃のシルヴァスタ・スタローンでした。少年みたいに若い。台詞はないけど。またチャンドラーの小説らしく、何がどうやってそう繋がるのかというストーリーのからくりは全編真剣に見た上でも依然不明笑。まあ3本くらいの短編小説をやや強引にくっつけて長編を作ってることはチャンドラー本人が認めてることなので、この論理的な筋道が不透明なストーリーももはやお家芸という感じではある。良作でした。哀しい後味の残るラストもシリーズ随一ですね。原作はそんなに遠くない将来読み返すと思う。

——好きな台詞
「彼女のことはよく知らないがバーボンで親友になれるらしい」
明石です

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