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さらば愛しき女よのzkのレビュー・感想・評価

さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)
4.2
ジャンルとしては後発なのだが、フィルムノワールの教科書にしてもいいような作品。
ここにカーチェイス、ドローン撮影、クライマックスの激しい銃撃戦が加わると現代でも普通に製作されるアメリカの犯罪映画になる。

物語は探偵フィリップマーロウの一人称モノローグで進行するものの、その内容は渇いており内面の独白などではなく、まるで他人に記録を聞かせるように語っている。刑事から受けた取り調べでマーロウが語っているのと同質なのである。
これはハードボイルドというジャンルの醍醐味で、製作者もそこを深く理解している。

ストーリーを彩る要素として現役引退間際のマーロウの衰え、ジョー・ディマジオ、ただの恋人探しのはずがカジノ利権が絡む事件に巻き込まれ、マーロウを翻弄するファム・ファタールなど、まさにお手本のようなノワールぶりで、このジャンルを手堅く楽しみたい人になら現代でも通用する職人技のような作品と思う。
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