映画の中の映画。永遠の映画。ラヴェルのボレロと、ジョルジュドンのダンス、見世物小屋のショー、役者たち、戦争と日常、どうして感動しないことがあろう。
クロードルルジュは、なんでもない物語を愛情を込めて撮影できる監督で、派手な話はなく、映画のテーマソングのように淡々と日常の織物を作っていく。一つ一つは儚く消えてしまいそうな人生が、ボレロの楽器が増えていくように、次の人生と繋がっていく。
ドクトルジバゴやソラリスのようにストーリーにこれといったテロスはないが、ナラティブというのか、人生が物語られ、映画の中に生きたいと感じる。セザンヌの静物画の中に入ってみたいように、映画の中に入り、そこに生きられたら、人生の意味を感じるのではないかと思ってしまう。
永遠の映画。
ジョルジュドンの踊るバレエは素晴らしい。映画に感化されて、バレエなど何も知らないが、熊川哲也氏のボレロも観に行った。さすがにジョルジュドンの永遠ではなかった。